人材紹介業の始め方

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人材紹介業の始め方/ how to

人材紹介の手数料発生までの流れ

1、「人材紹介事業における売上」≒「人材紹介手数料」

一般的に、事業において利益を出すためには、まず「売上」を上げる必要があります。
事業の種類にもよりますが、例えば不動産事業であれば、「不動産販売代金」「不動産仲介手数料」「不動産賃貸料」・・・様々な形で売上を上げることができます。

しかし、人材紹介事業における売上は「人材紹介手数料」のみです。
ヘッドハンティングや再就職支援等、特殊な人材紹介事業をおこなっている場合は人材紹介手数料以外の売上もありますが、多くの人材紹介会社は一般的な人材紹介しかおこなっていないため、人材紹介手数料が唯一の売上となります。
しかも、この人材紹介手数料は「成功報酬制」です。
求人企業にどれだけ求職者を紹介しても、採用に至らなければ売上とはなりません。

人材紹介事業で売上を上げるためには、兎にも角にも人材紹介を成約し、求人企業から成功報酬としての手数料を得るしかないのです。

2、人材紹介手数料の設定から発生までの流れ

人材紹介事業における唯一の売上である人材紹介手数料。
人材紹介事業の一連の流れの中において、人材紹介手数料について考える場面は、凡そ以下のとおりです。

【人材紹介事業開始前】

  • 人材紹介手数料の決定
  • 人材紹介手数料の届け出

【人材紹介事業開始後】

  • 企業への人材紹介手数料の提示
  • 人材紹介契約書(人材紹介申込書)の締結
  • 人材紹介手数料の変更
  • 人材紹介手数料の計算
  • 人材紹介手数料の請求

以下に、各場面におけるポイントを説明します。

3、人材紹介手数料の決定、人材紹介手数料の届け出(届出制手数料)

人材紹介が成約した際に企業から徴収する人材紹介手数料ですが、いくらでもよいのかというと、そうではありません
有料職業紹介事業許可を得る際に労働局に提出する資料の中に「届出制手数料届出書(様式第3号)」という書類があり、人材紹介においてこの書類に記載した額以上の手数料を得ることは禁止されています。

この「届出制手数料届出書(様式第3号)」に人材紹介手数料の上限を記載する必要があるため、人材紹介手数料は人材紹介事業開始前(許可前)に決めておく必要があります。

「届出制手数料届出書(様式第3号)」に手数料を記載する際には、現実的な手数料を決定した上で、ある程度の幅を持たせた上限手数料を記載することをお勧めします。
例えば、手数料を「30%」と決定した場合でも、「50%」と多少の余裕を持たせて記載するということです。

(補足説明)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

上述の「届出制手数料届出書(様式第3号)」について、補足説明をします。

人材紹介手数料には、「上限制手数料」と「届出制手数料」があります。
届出制手数料は、さらに「一般登録型」「サーチ/スカウト型」「再就職支援型」の3タイプに分けられます。

上限制手数料とは、採用された者の6か月分の賃金の約10%を上限とする手数料制度です。
ほとんどの人材紹介会社は届出制手数料を選択し、上限制手数料を選択しません。
上限制手数料を選択する特別の理由がないのであれば、届出制手数料を選択することをお勧めします。
なお、上限制手数料を選択する場合は、「届出制手数料届出書(様式第3号)」の届け出は不要です。
上限制手数料は一般的ではないため、この記事では細かい説明は省略します。

届出制手数料を選択する場合は、「届出制手数料届出書(様式第3号)」の提出が必要です。
「届出制手数料届出書(様式第3号)」には、人材紹介のタイプ別に以下の別紙を添付します。

様式例第3号-1 【一般登録型】手数料表

一般登録型は、いわゆる一般的な人材紹介のタイプです。
通常の人材紹介で徴収する手数料を記載し届け出ます。

様式例第3号-2 【サーチ/スカウト型】手数料表

サーチ/スカウト型とは、いわゆるヘッドハンティングのような人材紹介です。
特別な調査で費用がかかる場合等、成功報酬とは別に手数料を徴収する場合等はこの手数料表を届け出る必要があります。

様式例第3号-3 【再就職支援型】手数料表

企業の都合で従業員を解雇した場合(リストラ等)、企業が人材紹介会社に従業員の再就職支援を依頼する場合があります。
その場合、当該企業(関係雇用主)が、再就職支援の着手金として手数料を人材紹介会社に支払います。
再就職支援を受ける可能性がある場合は、この手数料表を届け出る必要があります。

変更の届出をすれば、事後的に手数料を変更することも可能なので、変更の必要が生じた際には、忘れずに届出するようにしてください。

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4、企業への人材紹介手数料の提示

人材紹介手数料は、人材紹介会社自身が決定することができます。

全ての求人企業に対し共通の手数料にするのか、求人企業ごとに変更するのかも人材紹介会社が自由に決定することができます。

「妥当な人材紹介手数料は?」

人材紹介会社は、この悩みを永遠に持ち続けます。
手数料を高く設定しすぎると企業の求人依頼を受けにくくなります。
手数料を低く設定しすぎると売上が上がりません。

人材紹介手数料の相場は、採用する者の年収の30%~35%です。
大手人材紹介会社が35%で設定しているところが多いので、この相場になっていますが、中には「20%」「15%」と相場よりもかなり低い料率を設定している人材紹介会社もあります。

人材紹介手数料は「料率(%)」で設定している人材紹介会社が多いですが、近年は固定額で設定している人材紹介会社も増えてきました。
採用する者の年収にかかわらず、「一律100万円」「一律80万円」というように、固定の金額で設定する方法です。
人材紹介手数料のわかりやすさの点から、固定額の設定を望む求人企業は多いです。

人材紹介手数料は、一般的には人材紹介会社から求人企業に料率(または固定額)を提示しますが、その料率(または固定額)に納得できない求人企業から、値引きの打診がある場合もあります。
値引きの打診に応じるか否かは、人材紹介会社の方針次第です。
一度値引きに応じてしまうと、今後の取引においても値引き後の手数料がベースになってしまうことがあるので注意が必要です。

5、人材紹介契約書(人材紹介申込書)の締結

求人企業との間で決定した人材紹介手数料は、人材紹介契約書(または人材紹介申込書)に記載して確定させます。
求人企業の人事担当者との口頭でのやり取りだけではなく、確定した人材紹介手数料は必ず人材紹介契約書に記載をするようにしましょう。
時々、「人材紹介契約書を交わすのは、実際に求職者の採用が決まってからにしたい」と言う人事担当者がいますが、契約書を交わさないまま人材紹介を行うことは避けるべきです。

例えば、人事担当者と「紹介手数料35%」の口約束をした後、転職希望者(求職者)を紹介し、面接をしたとします。
求職者も面接を終え、その企業への入社意欲が高まっています。

そんな時、人事担当者から「人材紹介手数料20%なら採用したい」と言われた場合・・・人材紹介会社はとても弱い立場に立たされます。
この時点において、人材紹介会社から「約束が違うので、人材紹介を取り止める」とは言い難いでしょう。
もし、人材紹介を取り止めた場合、入社意欲が高まっている求職者の理解を得ることは困難です。
人材紹介が破談になり、求職者も離れていくことを考えれば、人事担当者の提示した20%の条件を受け入れざるを得なくなります。

このような企業とのやりとりは、実際によくあります。
求人企業と対等な立場でのビジネスをするためには、人材紹介契約書をしっかりと締結することは、とても重要なことなのです。

また、人材紹介契約書には、人材紹介の「締め日・支払日」を記載します。
「毎月月末締め・翌月末支払い」が最も多いパターンだと思います。
例えば、111日~1130日の間に求職者が入社した場合、12月末が支払期限になるということです。
求人企業の都合に合わせて定める場合もありますが、「締め日」と「支払日」の間隔はなるべく短い方が良いです。
リスク管理の面からも「締め日・支払日」の間隔が2か月以上空くことは避けるべきです。

6、人材紹介手数料の変更

人材紹介契約書を締結した後に、事後的に人材紹介手数料が変更となることはよくあります。

求人企業の申し出により紹介手数料を低く変更することもありますが、逆に求人企業からの申し出により紹介手数料を高く変更することもあります。
企業からの申し出により人材紹介手数料を高く変更する・・・これはどのようなことかというと、人材紹介手数料を高くすることにより人材紹介会社のやる気を起こそうとしているのです。
このような場合は、人材紹介会社にはメリットしかないので、素直に企業の申し出を受け入れた方が得策です。
企業に遠慮して、申し出を断る方がいますが、その遠慮は不要です。

人材紹介手数料を変更する場合は、覚書を交わすのが一般的です。
契約書を締結し直しても構いませんが、永続的な契約変更でないのであれば、再度変更する手間を省くためにも覚書の方が適しています。

7、人材紹介手数料の計算

人材紹介手数料は、一般的には、採用される者の「年収×料率(〇%)」で計算します。
「年収」に何を含むかは、企業と人材紹介会社の間の定めなので、一概には言えませんが、一般的には「年収=月額固定給×12か月+賞与等一時金+諸手当(交通費を除く)」です。
上記の「年収=月額固定給×12か月+賞与等一時金+諸手当(交通費を除く)」のことを理論年収といいます。

上述しましたが、「年収×料率(〇%)」という計算ではなく、「固定額」で人材紹介を設定することもできます。
「料率」か「固定額」か、どちらが良いかという質問をよく受けますが、私は「固定額」と答えています。
理由は、人材紹介手数料の計算方法については、求人企業と人材紹介会社間で時にトラブルの原因となるからです。
ちなみに、トラブル原因で最も多いのは、年収に算入する「賞与」「諸手当」の範囲に関する認識の相違です。
人材紹介手数料の計算に明朗さを求めるのであれば、固定額の方が適しています。

8、人材紹介手数料の請求

求人企業に紹介をした求職者が「入社」したら、人材紹介手数料が発生します。
逆を言うと、入社するまでは、人材紹介手数料は、あくまで発生する見込みのものにすぎません。
求人企業に紹介した求職者が面接を受けた後の流れは、以下のとおりです。

①面接
②内定
  • 求人企業は、内定通知書(または雇用条件通知書)を作成し、人材紹介会社に送付
  • 人材紹介会社は、求職者に内定通知書(または雇用条件通知書)を送付
③内定受諾
  • 求職者は、内定承諾書を人材紹介会社に送付
  • 人材紹介会社は、求人企業に内定承諾書を送付
④人材紹介手数料確認
  • 人材紹介会社は、人材紹介契約書に基づき計算した人材紹介手数料を求人企業に通知
  • 求人企業は、通知のあった人材紹介手数料を確認し、人材紹介会社に承諾通知
⑤入社
  • 求職者が、出社
  • 人材紹介会社は、電話等により求人企業に求職者の出社を確認
⑥人材紹介手数料請求
  • 人材紹介会社は、求人企業に人材紹介手数料請求書を送付
⑦人材紹介手数料支払い
  • 求人企業は、人材紹介会社に人材紹介手数料を支払
  • 人材紹介会社は、人材紹介手数料の入金を確認。
  • 人材紹介手数料の入金を確認したら、この人材紹介案件は終了です。
  • 後は、早期退職による手数料返還が発生しないことを祈るだけです。

9、さいごに

人材紹介手数料のポイントは、「紹介料の設定」「紹介料の計算」です。
人材紹介の流れは、どの人材紹介会社も同じであり、求人企業もよく理解しています。
ただ、人材紹介料は30%~35%という相場はあるものの、様々な料金形態の人材紹介会社が増えてきました。
人材紹介手数料の計算方法も千差万別です。
人材紹介契約を締結する際に、しっかりと計算方法について説明しておくことが、スムーズな人材紹介につながることを忘れないようにしてください。

 

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