人材紹介ビジネスの市場規模
【人材紹介ビジネス】市場規模は拡大?縮小?
人材紹介ビジネスを始めるにあたり、「どのくらいの市場規模なのか」を把握することは重要です。
自社の売上と市場規模を比較して、現在地を理解することにも役立ちます。
そこで本記事では、人材紹介ビジネスの市場規模について解説していきます。
また、その理由と将来についても解説していきますので、ぜひ最後まどお読みください。
市場規模の推移
人材紹介ビジネスの市場規模を理解するには、
- 売上の推移
- 求人数の推移
- 求職者数の推移
を見る必要があります。
そのためには、厚生労働省が発表している「職業紹介事業報告書」を参考にすると良いでしょう。
本記事でも、厚生労働省が令和3年3月31日発表した「令和元年度職業紹介事業報告書」を参考にしています。
それではまず、「売上」「求人数」「求職者数」がどのように推移しているのかを確認していきましょう。
売上の推移
売上の推移 |
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2015年度 |
約3,535億円 |
2016年度 |
約3,876億円 |
2017年度 |
約4,446億円 |
2018年度 |
約5,418億円 |
2019年度 |
約5,874億円 |
このように、職業紹介ビジネスの売上は右肩上がりです。つまり、市場規模は年々拡大していると言えます。もし市場規模が縮小しているなら、売上が右肩上がりになるわけがないからです。
次に、求人数の推移を見てましょう。
求人数の推移
求人数の推移 |
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2015年度 |
557万人 |
2016年度 |
671万人 |
2017年度 |
717万人 |
2018年度 |
765万人 |
2019年度 |
878万人 |
売上が右肩上がりなので当然ですが、求人数も年々増えています。
次に、求職件数の推移を見てみましょう。
求職件数の推移
求職件数の推移 |
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---|---|
2015年度 |
1,344万件 |
2016年度 |
1,322万件 |
2017年度 |
1,840万件 |
2018年度 |
1,720万件 |
2019年度 |
2,023万件 |
求職件数は、完璧な右肩上がりではないのですが、年々増えています。
なぜ、人材紹介ビジネスの市場規模は拡大しているのか
人材紹介ビジネスの市場規模が拡大している要因として以下が考えられます。
- 手数料の増加
- 人手不足の深刻化
- 転職者の増加
これらが相互に影響し合うことで、人材紹介ビジネスの市場規模が拡大していると考えられます。
なぜ、以上の要因で市場規模が拡大するのか、それぞれについて詳しく解説します。
手数料の増加
人材紹介ビジネスの売上は、企業に人材を紹介することで得られる紹介手数料です。
紹介手数料の徴収方法には、上限手数料制と届出手数料制というものがあります。
上限手数料制とは簡単に言えば、紹介した人材の6ヶ月の給与のうち11%を徴収できる制度です。一方届出手数料制は、1年間の給与から30%程度を徴収できる制度です。
一般的には、届出手数料制の方が選ばれているため、本記事では届出手数料制をベースとして考えていきます。
この上限手数料制というのは、人材紹介ビジネス業者が厚生労働省に届け出た手数料の中から、企業に請求できます。
たとえば、厚生労働省に50%と届け出ていたならば、企業に対して50%以下の採用手数料を請求できるということです。
そしてこの届出手数料は、25%~35%に設定されていることが多いとされています。
法律的には上限が決められていないのですが、50%などと高く設定すると許可がおりません。そのため、25%~35%が相場となっています。
しかし、集客するのが大変な職業の場合には、手数料を高く設定できる可能性が高くなります。
それは、一般的で集客が比較的簡単な職業と集客が難しい職業が同じ手数料では、集客が難しい職業の人材紹介をする業者がいなくなってしまうからです。
これを考えたときに、今の職業を考えてみてください。
一昔前と比べて、現在では圧倒的に職業が増えています。多様化していると言い換えてもいいかもしれません。
つまり、集客が難しい職業も増えているのです。
たとえば20年前、IT系の職業は非常に稀でしたよね。
図のように、パソコンの普及が始まったのは2005年~2006年の間くらいです。
それよりも前には、IT系の職業は稀で求人も多くなかったことが予想できます。その分、採用手数料も高かったでしょう。しかし分母が少ないため、やはり売上も伸びなかったと予想できます。
しかし現在では、IT系の職業は一般的です。それでも、業務内容の特殊さから集客が簡単だとは言えません。
つまりIT業界では、「人手不足だけど、当てはまる人がいない」といった状況になっているのです。言い換えると、「求人はあるけど、求職者がいない」ということです。これは、届出手数料を高く設定できる要因になります。
今回はIT系の職業にフォーカスしましたが、他にも当てはまる職業があるでしょう。
これが、採用手数料が高くなっていると考える理由です。
人手不足の深刻化
日本は高齢社会になり、働く人の人口が少なくなっています。
これは企業が人材を得にくくなっていることにもつながります。
たとえば、10人の人材がほしい企業があり、そこで働きたい人が20人いれば、人材紹介ビジネス業者は必要ありません。
しかし現在の日本では、10人の人材がほしい企業があっても、そこで働きたい人が10人に満たないのです。
これは、有効求人倍率を見れば明確です。
有効求人倍率とは、求人数を求職数で割った値です。
たとえば、100の求人があり、50の求職があった場合には、有効求人倍率が2.0になります。
それでは、現在の有効求人倍率はどうなっているでしょうか。
厚生労働省が発表している「一般職業紹介状況」では、令和3年2月の時点で1.09倍となっています。
また、新規求人倍率は1.88倍となっています。
新規求人倍率とは、月に申し込まれた求人数を、同じ月に申し込まれた求職数で割った値です。
つまり、令和3年は圧倒的に人手不足になっていると言えるでしょう。
求人倍率が高いということは、求職者は職を見つけやすくなっており、企業は人材を得にくくなっているということです。
人材紹介ビジネスは、企業から採用手数料を徴収するモデルです。職業安定法によって、求職者から手数料を徴収することは、原則できません。
これによって、人材紹介ビジネス業者は、企業が簡単に人材を得られない状況というのは嬉しいのです。
もし求人倍率が0.5倍だったとします。
この場合、企業は何もしなくても人材を得られることになります。100の求人に対して、200人の求職者がいるということですからね。
そうではなく、求人倍率が1.0倍を超えている場合には、企業はどうにかして人材を引っ張ってこなければいけません。
そのためには、自社での努力は当然しますが、それだけでは十分な人材を得られないため、人材紹介ビジネス業者を利用します。
このような状況(=求人倍率が高い)が続いているため、人材紹介ビジネスの市場規模は拡大していっているのです。
転職者の増加
人材紹介ビジネスの市場規模が拡大している要因には、転職者の増加もあります。
昔ならば、「終身雇用」や「年功序列」があったために、1つの企業に入社したら、定年まで居続けることが一般的でした。
しかし現在では、「終身雇用」や「年功序列」が撤廃され、1つの企業に居続ける意義が薄れてきました。
これによって、転職を考える人が増加しているのです。
人材紹介ビジネスは、人材を企業に紹介することで売上を得ます。そのため、転職を考える人がいなければ、ビジネスが成り立ちません。
つまり、前章で述べた「人手不足である」ということと「転職者がいる」ということがそろって初めて事業として成り立つのです。
もし転職者がいなければ、どれだけ企業が人材紹介ビジネス業者に求人申し込みをしても、人材紹介ビジネス業者は紹介する人材がいないことになります。
先ほども言いましたが、人材紹介ビジネスは企業に人材を紹介することで売上を得るモデルです。
そのため、何よりも「転職者」がいなければ、成り立たないのです。
このことを考えると、「終身雇用」や「年功序列」の撤廃は、人材紹介ビジネス業者にとっては、強烈な追い風になっています。
また、ネットの普及などによって、他の労働者の状況がわかりやすくなったことも転職者が増えた理由がと思われます。
たとえば、「残業なしで月収40万」という発信がなければ、「俺は、残業ありで月収30万だな」などと比較することはありません。
ネットが普及する前ならば、人に自分の月収を言いふらす人は少なかったですよね。それは、面と向かって知っている人としか関わらなかったからです。
しかし現在では、Twitterなどで発信すれば、身分を知られずに自分の状況を発信できるようになりました。これが理由となって、自分の月収を言いふらす人も増えています。
反対に、「今の会社がどれだけブラック企業か」などの情報発信も盛んになっています。
このような発信を見て、自分の状況と比較することができるようになりました。
これによって、転職を考える人が増加したのでしょう。
総務省が令和2年2月21日に発表した「増加傾向が続く転職者の状況 ~2019年の転職者は過去最多~」という資料からも読み取れます。
この資料では、前職の離職理由についての記載があります。
前職の離職理由では、127万人が「より良い条件の仕事を探すため」としています。これは1番多くの人が回答していて、2位の理由は「定年または雇用契約の満了」で49万人でした。
このことからも、他社と比較して転職を考える人が増えたと言えるのではないでしょうか。
人材紹介ビジネスの将来
何度も述べますが、人材紹介ビジネスは企業に人材を紹介することで売上が得られます。
つまり、求人もしくは求職がなくなれば、売上を得られないということです。
2021年12月現在では、コロナウイルスも落ち着きつつあり、求人が増えているため、人材紹介ビジネス業者にも仕事はあります。
しかし将来はどうなのでしょうか。
私の考えとしては、人口減少とともに衰退していくと可能性があると思います。
前章では、「求人倍率が高いということは、人材紹介ビジネスにとっては嬉しいこと」と言いました。
しかしそれは、ある程度の求職者がいる場合です。
極端な話、求人倍率が10.0倍であっても、求職者が10人しかいなければ、その10人を人材紹介ビジネス業者で取り合う形になります。
それでは、売上を伸ばすことはできないですよね。
現在は、求人倍率が高く求職者も多いことから市場規模が拡大していっています。
しかし現状のままだと、近い将来、労働職人口が少なくなっていきます。それはつまり、人材紹介ビジネス業者が扱える人材が減るということに直結しています。
もちろん政府が何かしらの対策をして、労働力人口が多くなれば人材紹介ビジネスの市場規模は拡大していくと思います。
こんな話をすると、「人材紹介ビジネスを始めるのは、止めた方が良いのでは?」と思われるかもしれません。
しかし私は、「人材紹介ビジネスは安定する」とも考えています。
「人口減少とともに衰退していく」という話と逆のことを言っているように感じるかもしれません。だけど、それは違います。
私は、日本がこのまま人口減少を続け、衰退していくとは考えていません。何かしらの政策を行い、人口を保とうとするはずです。
そうなれば、人材紹介ビジネスの仕事はなくなりません。
つまり人材紹介ビジネスは、日本の景気と直結しているのです。
このことから、人材紹介ビジネスは国から支援されていると言っても過言ではありません。
国が景気を保つ=人材紹介ビジネスの仕事が増えるという公式が成り立つからです。
最終的な結論としては、「日本が危機に陥らない限り、人材紹介ビジネスの市場規模は拡大していく」です。
もし大災害などがあれば、一時的に縮小することもあるでしょう。(コロナウイルスが良い例)
しかし、景気を保とうと社会が活気づけば、企業は人材を求めます。それを紹介する事業なのですから、日本が衰退しない限り、人材紹介ビジネスは衰退しないと思われます。
まとめ
本記事では、人材紹介ビジネスの市場規模についての解説と推察を行ってきました。
まとめると以下のことが言えます。
- 事実として人材紹介ビジネスの市場規模は、年々拡大している
- それは、「手数料の増加」「人手不足の深刻化」「転職者の増加」が理由である
- 今後も拡大していくことが予想される
- それは、人材紹介ビジネスの市場規模は、日本の景気と直結しているから
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