人材紹介ビジネスに関する売上と経費
【人材紹介ビジネス】売上と経費について詳しく解説
「人材紹介ビジネスを始めたいけど、売上や経費ってどうなっているのだろうか」
人材紹介ビジネスを始めるにあたり、このような悩みを持っている方も多いのではないでしょうか。
ビジネスの基本である「売上と経費」の理解なくして、成功はありません。そのため本記事では、人材紹介ビジネスの売上と経費にフォーカスして解説していきます。
人材紹介ビジネスで売上を得る方法
人材紹介ビジネスにおける売上とは何でしょうか。
この理解なくして、ビジネスは成り立ちません。なので明確に理解しておきましょう。
人材紹介ビジネスに売上は、【求人企業から受け取る成功報酬型の紹介手数料の徴収】です。また、特殊な職業の場合には、求職者からも手数料を徴収できます。
企業に紹介手数料を請求する方法には2種類あります。1つは、届出手数料。もう1つは、上限手数料です。
そして、求職者に紹介手数料を請求する方法は、求職者手数料です。
それぞれ解説していきます。
届出手数料
届出手数料とは、採用決定者の理想年収から、厚生労働大臣に事前に届け出ていた手数料を企業に請求できる制度です。
理論年収とは、【採用決定者の月給給与の12ヶ月分+交通費以外の諸手当+報奨金・一時金】を算出したものです。変動給が多い場合は、企業の平均値・前年度実績を基に理論年収を算出します。
また、「交通費以外の諸手当」とは、【所定外労働手当/役職手当/家族手当/住宅手当/資格手当/食事手当/企業が独自に実施する手当】のことです。
この理論年収に対して、厚生労働大臣に届け出ていた範囲内で手数料を徴収できます。
たとえば、理想年収400万円の人材の採用が決定したとします。
この場合には、400万円×届出手数料(ここでは35%とします)なので、紹介手数料として140万円を徴収できます。これが、売上になります。
今の計算式では、届出手数料を35%としましたが、実は法律には、届出手数料の上限が明記されていません。そのため、「高ければ高いほど、いいじゃん」と思うかもしれません。
しかし、暗黙の了解として上限は存在します。
また、届出手数料の相場としては、30~35%などと言われていますが、さまざなな要因によって変わるため注意が必要です。
要因には、外的要因と内的要因があります。
外的要因には、下記のようなものがあります。
求人の難易度 |
専門的な知識や技能が必要な職業で、求職者を集めることが困難な場合には、手数料を高く設定できる可能性が高くなる。 |
---|---|
経済状況 |
経済が良好で、企業が人手不足の場合には、手数料を高く設定できる可能性が高くなる。 一方で、人手過多の場合には、手数料を高く設定できない。 |
競合他社の状況 |
他の人材紹介会社の手数料が30%だとして、その会社と差別化できないようなら、手数料は30%が妥当になります。 |
内的要因は、下記のようなものです。
適した人材の紹介 |
独自のネットワークなどを持ち、求人企業に対して適した人材を紹介できる保証がある場合には、手数料を高く設定できる可能性が高くなる。 一方で、競合他社と同じサービス内容であれば、手数料を高く設定できない。 |
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このような要因を考慮して、適切な手数料を設定しましょう。許可が下りないことを恐れて手数料を低く届け出てしまうと、損をしてしまいます。それは、届け出た以上の手数料を請求できないからです。
もし「損をしているな」と感じ、手数料を変更しようとすれば、再度届出の提出が必要になってしまうので、手数料の設定は慎重に行いましょう。
その際、管轄の労働局へ確認するとスムーズに手数料の設定ができます。
上限手数料
上限手数料とは、採用決定者の6か月間の賃金に対して、11.0%(免税事業者は、10.3%)の手数料を企業に請求できる制度です。
ほかのサイトでは、10.5%や10.8%と記載されているものもありますが、現在では11.0%となっています。これは、消費税によって変わるためです。現在の消費税は10%なので、11.0%の手数料を請求できます。
上記からわかる通り、上限手数料は届出手数料に比べて、請求できる額に大きな差があります。
このことから、上限手数料を選択している人材紹介会社は少ないです。
上限手数料を選択している場合には、受付手数料というものを企業に請求することができますが、求人受理1回につき710円(免税事業者は、660円)と低く、また企業からは嫌がられるため、使用するメリットはありません。
このように、上限手数料は届出手数料に比べて売上も減り、目立ったメリットもないため、届出手数料を選択することが一般的です。
求職者手数料
職業安定法32条の3第2項によって、求職者から手数料を取ることは禁じられています。
しかし特定の職業に限って、求職者からも紹介手数料を得ることが可能です。
特定の職業とは、
- 科学技術者
- 熟練技能者
- 経営管理者
- 芸能家
- モデル
のことです。
これらの職業の求職者に対しては、6か月間の賃金の11.0%を請求できます。
しかし上記の職業でも、科学技術者・熟練技能者・経営管理者は、年収700万円を超えていなければ、紹介手数料を請求できません。
このことから、特殊なケースであることがわかると思います。そのため、あまり気にする必要はないかもしれません。
人材紹介ビジネスを開業するための必要経費
人材紹介ビジネスを開業するためには、人材紹介事業の許可申請を取得するためには、以下の要件を満たす必要があります。
- 職業紹介責任者がいること
- 完全に区分けされた面談スペースがあること
- 財産的要件を満たしていること
これらを満たすためには、費用をかける必要があります。また、免許を申請するためにも費用がかかるのです。
それぞれについて詳しく解説していきます。
「職業紹介責任者がいること」にかかる費用
職業紹介ビジネスを始めるには、職業安定法第32条の14に基づき、職業紹介責任者が必要になります。
職業紹介責任者は、1事業所に1名。そして50名あたり1名以上が必要です。
つまり、どのような事業所であっても最低1名は必要になり、50名以上の事業所の場合には、最低でも2名必要ということです。
そして、職業紹介責任者になるためには、
- 3年以上の職業経験があること
- 成人していること
- 他の会社の社員ではないこと(出向・非常勤は除く)
- 職業紹介責任者講習を受けて、受講証明書を発行されること
これをすべて満たす必要があります。
上記の中で、費用がかかるのは「職業紹介責任者講習」です。費用は実施している団体によって異なりますが、約1万円かかります。
「完全に区分けされた面談スペースがあること」にかかる費用
人材紹介ビジネスは、個人情報を扱う事業です。そのため、個人情報が守られないオープンスペースのみでは、事業を行えません。
つまり、人材紹介ビジネスを行うためのスペースが必要になるのです。これに、費用がかかります。
具体的な条件としては以下のものがあります。
- 事務所専用の固定回線があるか
- 鍵のかかる金庫やロッカーがあるか
- 高さ約180CMのパーテーションで区分けされたスペースがあるか
自宅を事業所として使用せずに、「他に部屋を借りる」かつ「回線が通っていない」場合には、回線を通らせる必要があります。
15万円の部屋を借りる場合には、敷金や礼金を考えると、初期に45万円。そして月に、15万円かかります。
また回線が通っていない場合には、回線費用もかかります。契約する会社によって、かかる費用は異なるので一概に「〇円かかる」とは言えませんが、一般的には月に2000~5000円ほどかかるでしょう。また、工事費として初期に、1万円~2万円ほどかかる場合もあります。
さらに、金庫やロッカーがない場合には、これらの購入も必要になります。こちらもピンキリなので、一概には「〇円かかる」とは言えないので、割愛します。
実はこれらを自分で満たす必要がない場合もあります。それはレンタルオフィスを借りる方法です。
2017年までは、条件に「広さ20㎡あること」があったのですが、今では撤廃されています。そのため、レンタルオフィスでも要件を満たせるようになっているのです。
この場合には、借りる場所によって金額が変わります。
たとえば銀座の場合。月に約5万円で借りられます。
そのため、レンタルオフィスを使用すれば経費削減になるかもしれません。
「財産要件を満たしていること」にかかる費用
財産的要件として、基準資産額(=資産の総額から負債の総額を控除した額)が500万円以上あることが求められます。これは1事業所あたりの金額です。つまり、2事業所を運営する場合には、2倍の金額が必要になります。
そして、自己名義の現金預金額が150万円以上あることが求められます。これも1事業所あたりの金額です。事業所が2カ所以上ある場合には、1事業につき60万円を加えた金額が必要です。
これらは支出ではないので、経費とは言いませんが、「お金を集めなければいけない」という点では経費と同じなため、ここで紹介しました。
「免許申請」にかかる費用
人材紹介ビジネスは、国の許認可事業であるため、免許がなければ運営できません。そのためには、免許申請をする必要があります。
免許申請には、登録免許税と収入印紙が必要になります。
登録免許税には、9万円。収入印紙には5万円かかり、これらが免許申請のための必要経費です。
また、免許申請を代行業者に依頼する場合には、上記の費用とは別に15~20万円かかりますので、注意が必要です。
開業するために必要経費まとめ
- 職業紹介責任者がいない
- レンタルオフィスを借りる
- 免許申請を代行業者に依頼する
この場合の必要経費は、下記になります。
職業紹介責任者講習費用 |
約1万円 |
---|---|
レンタルオフィス賃料 |
約5万円 |
免許申請費用 |
14万円 |
代行費用 |
約15万円 |
合計 |
約35万円 |
これに、財産的要件である500万円を足したものが、事業開始にあたりかかる費用になります。
人材紹介ビジネスを運営するための必要経費
人材紹介ビジネスを運営するための必要経費を理解するためには、人材紹介ビジネスの流れを理解する必要があります。
人材紹介ビジネスは、以下の図のような流れで運営されます。
上記の図で、右側に書かれているのが運営にかかる必要経費です。
「人件費と掲載費がかかる」とわかると思います。それぞれについて、詳しく解説していきます。
人件費
求人の獲得と求職者の面談、転職サイトへの掲載、その他もろもろの業務を一人で行えば、人件費は自分の分だけです。しかしそれは、現実的ではありませんよね。
それぞれ1人ずつくらいは欲しいと思います。そうなると3名での運営になります。
あなたが「求人の獲得」を行うと想定すれば、面談社員とバックオフィス社員の2名が必要です。
社会保険などの費用も考えると、最低でも1名あたり30~40万円は必要になるでしょう。そうなると人件費だけでも、90~120万円必要になる計算です。
また、転職サイトへの管理係を作るとすれば、プラス30~40万円必要です。
一応これで、人材紹介ビジネスを運営できます。
しかし、一人の社員あたりの面談できる人数は決まっています。
人材紹介ビジネスの売上は、紹介手数料であるため、面談できる人数が増えなければ売上も伸びません。そのため、面談社員を増やす必要も出てきます。そうなった場合には、さらに人件費がかかります。
掲載費
人材紹介ビジネスを始める際には、自社で集客する資金やノウハウがない場合がほとんどだと思います。
その場合、大手転職サイトのスカウトサービスなどを利用する必要があるでしょう。この利用に大きな費用がかかります。
使用するサービスによって費用は異なりますが、平均すると以下のような金額になります。
月額費用 |
10~20万円 |
---|---|
成果報酬金額 |
売上の20~30% |
たとえば、年収300万円の人材を紹介し採用された場合、紹介手数料として105万円(届出手数料で35%に設定している場合)の売上を得られます。そのうちの30%(=約31万円)が転職サイトに取られます。
合計すると、約50万円ほどかかりるのです。
これは、一つの転職サイトを使う場合の費用です。複数の転職サイトを使う場合には、当然ですが、さらに費用がかかります。
運営するための必要経費まとめ
- 求人営業
- 求職者面談
- バックオフィス社員
- 賃料
それぞれ1名ずつ雇用すると、人件費が90~120万円。
転職サイトを1つ利用すると、月額で10~20万円。
年収400万円の人材を毎月4名、転職させると想定した場合(届出手数料で35%に設定し、成果報酬金額が30%と想定)。
成果報酬金額は、400万円×35%×30%=42万円(×4名=126万円)の費用がかかります。
そして、レンタルオフィスを借りている場合には、月に約5万円かかります。
つまり合計すると、運営には月、約200万円ほどの経費が必要になります。
まとめ
これまで、人材紹介ビジネスの売上と経費について解説してきました。
まとめると以下のようになります。
売上に関するまとめ
- 人材紹介ビジネスの売上は、企業に請求できる紹介手数料
- 紹介手数料には、届出手数料と上限手数料の2種類ある
- 上限手数料は売上が減り、メリットもないため選ばれない
- 多くの人材紹介会社は、届出手数料を選択している
- 特殊な職業に限り、求職者にも紹介手数料を請求できる
経費に関するまとめ
- 人材紹介ビジネスを始めるには、約35万円が必要
- 加えて、500万円以上の資産が必要
- 人材紹介ビジネスを運営するためには、月に約200万円必要(月に4名、転職させた場合)
以上が人材紹介ビジネスの売上と経費に関する情報です。これらを参考にしていただければと思います。
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