職業紹介事業会社設立に関して
職業紹介会社設立にあたっては、ただ会社にその旨の定款を作成して起業しただけでは、実際にビジネスを始めることができません。職業紹介事業を民間事業者が行う場合は、原則として行政、つまり厚生労働大臣の許可が必要となるのです。労働条件の明示、個人情報の保護といった職業紹介一般に対する規制も存在しますし、有料で職業紹介を行う場合に求人者(事業主)から受け取る手数料についても規制が設けられているのです。手数料を受け取って職業紹介を行う有料職業紹介事業よいうのは、いわゆる中間搾取を防止するため、以前は原則として禁止されていました。しかし、社会が変化し様々な求人・求職のニーズに応える必要が高まったため、現在では一定の規制のもとで、それを満たせば民間事業者が職業紹介を行うことができるようになっているのです。近年ではネットを利用することができて商圏範囲を短時間で簡単に広げることができるようになったことから、開業条件は厳しくてもこの事業を始める事業者は増加傾向にあります。それだけうまみのあるビジネスであることがうかがわれる状況です。このビジネスをはじめようとする場合には、まずは国が法律で定めている事業認可の要件をすべて把握するところからはじめることが肝要です。事業要件はすべて明示されていますので、それにあわせてすべての用意をすることができれば、事業は簡単にスタートさせることが可能となります。会社設立に関してはこの領域に豊富な知見をもった社会保険労務士や行政書士、税理士などの事務所も多く存在していますので、そうしたところにまず相談をしてみると無駄のない動きをすることが可能となります。
1)職業紹介事業者になるためには国の求めた要件を満たす必要があります
とにかく職業紹介ビジネスを開始するにあたっては、国が求める要件にしたがって会社を興すことが必要になってきます。ここでは職業紹介事業に特化してその内容を追っていくことにします。職業紹介事業と人材派遣事業は並行して行うことができますが、まず職業紹介事業としておさえておかなくてはならないのが以下のような要件になります。
禁止された業務に抵触しないこと
前項でも触れていますが、法律により港湾運送業務、ならびに建設業務に関する有料職業紹介事業は禁止されています。この2つの領域を扱った途端にアウトということになります。具体的にはこれは職業安定法32条の11に記載されているもので、このように扱うことができない業務のほうをあげて規制する方式のことをネガティブリスト方式と呼んでいます。ただし、扱えない業種よりも扱える業種のほうが極めて大きいのがこの法律の特徴で、あえて余分な領域にさえ抵触しなければビジネスとしては扱える業界に規制を受けないという点は大きなポイントといえます。実際問題としてみると、港湾運送業務というのはきわめて特殊であり、高度成長期にはこうしたビジネスがクローズアップされた時期もあったのかもしれませんが、今日では積極的にアプローチする業界ではないことがわかります。また建設業務は確かに市場も大きくなっていますが、昔から下請け労働をめぐっては様々なトラブルが続いてきたからこそ禁止業務の中に入っているわけで、こちらも積極的に取り込む業界ではないことがわかります。禁止業務になった背景といったものをしっかり認識しておくことが肝要です。
職業紹介責任者の要件について
職業紹介責任者許可要件 | |
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1 | 未成年者でなく、欠格事由に該当しないこと |
2 | 法令に従って職業紹介責任者が選任されていること |
3 | 生活根拠が安定していること |
4 | 健康状態が良好であること |
5 | 不当に他人の精神、身体および自由を拘束するおそれのないものであること |
6 | 職業紹介責任者が名義貸しでないこと |
7 | 成年に達してから3年以上の雇用管理の経験を有すること |
8 | 職業紹介責任者講習を受講したこと(許可申請の受理前5年以内の受講に限る) |
9 | 外国人の場合は在留資格を有すること |
職業紹介責任者については以下のような要件を満たしていることが必要となります。
・未成年者でなく、欠格事由に該当しないこと
・法令に従って職業紹介責任者が選任されていること
・生活根拠が安定していること
・健康状態が良好であること
・不当に他人の精神、身体および自由を拘束するおそれのないものであること
・職業紹介責任者が名義貸しでないこと
・成年に達してから3年以上の雇用管理の経験を有すること
・職業紹介責任者講習を受講したこと(許可申請の受理前5年以内の受講に限る)
・外国人の場合は在留資格を有すること
法律に規定されている言葉であるため、難しい印象を受けますが、その要件内容はいたってまともであり、特別なことが規定されているわけでではありませんので、年齢等の制限以外には責任者になるのはそれほど難しいことではないことが理解できます。
代表者および役員についても要件を満たしている必要があります
代表者・役員許可要件 | |
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1 | 生活根拠が安定していること |
2 | 不当に他人の精神、身体および自由を拘束するおそれのないものであること |
3 | 公衆衛生、公衆道徳上有害な業務に就かせるおそれのないものであること |
4 | 外国人の場合は一定の要件の在留資格を有すること |
5 | 国外にわたる職業紹介を行なう場合には、相手先国の状況や制度について把握し、求人者及び求職者と的確な意思疎通を図ることができること |
職業紹介事業者の起業では、代表者や役員といった人間にも就任に当たって一定の要件が求められています。具体的には以下のようなものが必要となります。
・生活根拠が安定していること
・不当に他人の精神、身体および自由を拘束するおそれのないものであること
・公衆衛生、公衆道徳上有害な業務に就かせるおそれのないものであること
・外国人の場合は一定の要件の在留資格を有すること
・国外にわたる職業紹介を行なう場合には、相手先国の状況や制度について把握し、求人者及び求職者と的確な意思疎通を図ることができること
こちらも大きな阻害要因にはならず、通常の生活をしている人間であれば特に問題はないといえます。
事業所の設置にも厳しい要件が存在
ネット主体でビジネスを行うのだから事業所はどこでもいいと考えがちですが、旧来からの法律に基づいた内容ですので事業所の設置についても細かく規定がされていいます。具体的には次のとおりとなります。
・風営法で規制する風俗営業が密集するなど事業運営に好ましくない位置にないこと
・事業に使用し得る面積がおおむね20㎡以上あること
・求人者、求職者の個人的秘密を保持しうる構造であること
・事業所名が職業安定機関その他の公的機関と誤認を生ずるものでないこと
求人、求職者ともに安心して利用できる事業所であることが求められていというわけです。事務所としてもそれなりのところに構えることを余儀なくされる条件といえそうです。付帯費用としてはこんなところにもお金がかかることになるわけです。とくに設置場所として風俗営業と隣接するような繁華街にオフィスを設置することは非常に問題になりますので、立地環境といったものも職業紹介ビジネスにマッチするようなところを選択することが重要になります。
ただしインターネット有料紹介許可をとれば事務所条件は変わります
インターネット有料紹介許可をとるのであれば事務所条件はかわります。 この場合、事務所が狭くてもはじめられます。通常の有料職業紹介は、事務所スペースが20㎡以上必要でしたが、それ以下のスペースでも認められるようになっています。これならば、設立間もない人も職業紹介事業をスタートさせることができます。顧客に会わなくても職業紹介が可能であるのが大きなメリットといえます。ただし、顧客と会うことが逆に制限されますので合うのは厳禁となります。案件紹介者にも会うことができませんし、電話による連絡も制限されます。ネットとメールのみということになります。この形態で許可を求めた場合、対面を伴う職業紹介事業の運営がなされたときは、許可の取消しの対象となる旨の許可条件がつけられることになります。
インターネット専業で行う場合にはネットのシステム完成度を要求されることはない
このインターネット有料紹介事業の許可を得る場合、申請時にネットのシステムの完成度を要求されることはありませんので、あくまで申請許可条件ということになります。 ただし、事務所としての実態がない状態でネットのみというのはさすがに申請しても許可は下りないことになります。実際に役所の人間が現地調査を行いますので、事務所の実態があることは必須条件となります。
2)個人情報の管理についても厳しい要件が求められます
個人情報の管理は、なにも職業紹介事業者に限ったことではありませんが、とくに属性情報に加え、学歴や職歴など通常では知りえないような内容までデータとして保存するビジネスになりますから、漏洩が行われたり、無断で二次利用されたりしないように、細かな注文をつけられていることは致し方ない部分といえます。また現実問題として、データが不正に利用されたりすることのないように厳密に管理することが必要となります。
個人情報管理体制についてもとめられる条件について
個人情報管理体制については以下のような条件をクリアすることが求められます。
・個人情報を取り扱う事業所内の職員の範囲が明確にされていること
・個人情報の適切な取扱について職員への教育が実施されていること
・個人情報の開示、訂正についての規程があり、求職者等に周知されていること
・個人情報の取扱に関する苦情処置についての事業所内の体制が明確にされていること
・個人情報管理規程を遵守し、従業員に遵守させなければならないこと
・業務上の必要性がない個人情報を収集してはならないこと
・個人情報の保管、使用は収集目的の範囲に限られること
ネットを通じて履歴書や職務経歴書などをやりとりする場合には、サーバーをしっかり管理して情報が外部からの攻撃で流出しないようにすることにも十分配慮する必要があります。
個人情報管理の措置について求められる要件
実際の管理に関しても以下のような要件が求められています。
・個人情報を正確かつ最新のものに保つための措置が講じられていること
・個人情報の紛失、破壊および改ざんを防止するための措置が講じられていること
・個人情報への不正アクセスを防止するための措置が講じられていること
・保管する必要がなくなった個人情報を破棄または削除するための措置が講じられていること
・求職者等から求められたときは、個人情報に関する適切な措置の内容を説明しなければならないこと
・求職者等の秘密に該当する個人情報を知り得た場合は、特に厳重な管理を行なわなければならないこと
こちらも内容としては個人情報保護法に準拠したものとなりますが、内部の人間のデータの持ち出しと外部からのアタックの双方に最大限の気を使う必要があるビジネスであるという点についてはしっかりと自覚しておく必要があります。外部の仮想化されたサーバーやクラウドサービスを利用して事業展開をする場合などは、こうしたセキュリティ面を十分にチェックして、何かあったときにどのような対応ができることになるのかをしっかり精査して利用することが重要になります。職業紹介ビジネスで顧客データが漏洩することは致命的なダメージになり業務が続けられなくなる深刻な事態と背中合わせの状況です。この部分はとくにしっかりとした体制を確立することが必要不可欠です。
3)財産基礎の要件を満たすこと
財産基礎というのは、社会生活上では聞きなれない言葉ですが、平たくいいますと、しっかり事業資金をもっているかどうかということになります。この要件は、もともと職業紹介事業をネットで行うことを前提にして法制化されていないために、多少大目に事業資金を算定しているようにみえますが、法律ですからいくら不服を言ってみても、この要件に合う形で事業資金を調達しなくてはなりません。詳細は以下のとおりになりますが、とにかく現金でほんとうに資金を持っているか細かくチェックされるところがこの財産基礎要件の細かいポイントとなります。
資本金だけではなく事業所も関係してくる財産的基礎要件
さらに、職業紹介業の場合には、資産の総額から負債の総額を控除した額が5百万円以上であることが必須となります。資本金だけではない財産基準が設けられている点にも十分な注意が必要となります。これは1事業書あたりの金額ということになりますので、一挙に視点を3つ作り本店と含めて4箇所の事業所を設定する場合には負債を差し引いて2千万円の資金がないと認められないことになります。さらに、人材派遣業の場合にはその条件は厳しくなり、資産の総額から負債の総額を控除した額が2千万円以上であることが必須となります。だだし、人材派遣業と、職業紹介業を、1つの事業所で兼業で行う場合は、2千万円が確保されていればそれで済むことになります。
このあたりはかなり条件が厳しく、潤沢な資金を用意して臨まないと簡単にはビジネスをスタートできないことがわかります。用意周到な準備が必要であるというのはこういうところにも垣間見られることになるわけです。人材派遣業に比べますとそれでもかなり内容は緩和されていますが、一般の起業に比べると相当厳しいのがこの業態の特徴といえます。
とにかくネット主体でビジネスをするのであれば、事業所はひとつ開設して、最低限の資金状況でクリアさせていくことが望ましいといえそうです。
自己名義の現預金額についても厳しい条件が課せられます
自己名義の現金預金の額が、150万円に職業紹介事業を行おうとする事業所の数から1を引いた額に60万円を乗じた額を加えた額以上であることが求められます。
現金・預金の額 ≧ 150万円 × ( 事業所数 - 1 × 60万円)
なぜここまで細かく規定されているのかは不明ですが、とにかく現預金についてもしっかり開示を求めれれることになりますので、事業資格を取得するためにはなんとかこの要件に合わせていく必要があります。
簡単にいいますと運転資金として500万が用意でき、しかも自己資金は現預金でしっかり150万は最低保有していることが、ひとつの事業所開設のための最低資金であるということです。1円の資本金の会社設立から考えますとしっかりとした資金を獲得していなければなりませんが、実際真剣にビジネスをはじめようと思うのであればこのレベルの資金は用意しておくことが必要だということを示唆している数字といえます。
すべてが揃えばいよいよ許可申請
以上のような認可のための条件がクリアできればいよいよ許認可申請ということになります。
有料職業紹介事業を行う際には、次にあげる書類を申請者の所在地を管轄する都道府県労働局を経由して、厚生労働大臣に提出する必要があります。また、当然のことながら合わせて申請にかかる手数料も必要です。
1.有料職業紹介事業許可申請書 3部
2.有料職業紹介事業計画書 3部
3.届出制手数料届出書 3部
4.添付書類 2部
こうした書類の作成と許可申請は個人でもできないことではありませんが、エキスパートが存在しますので、専門家に任せることが結果的に無駄のない申請業務となります。とくに国への許可申請では不備があると認めらませんし余分なコストと時間がかかってしまうことがありますので、十分な注意が必要となるのは言うまでもありません。許可申請については一式を5万円~10万円程度で引き受けてくれる社労士、税理士などが多数存在しますので、ネットで検索してみてもすぐに見つけることができます。
リアルな会社設立費用について
実際に会社設立をする場合には、定款をつくり登記をおこなう、いわゆる会社設立費用としてほぼ25万円程度がかかります。またオフィスを最低限のサイズで借りた場合、保障金を含めて60万から100万円程度見ておく必要がでてきます。家具や什器類はすべてレンタルでまかなうとしても月間でプラス10万円程度のランニング費用がかかることになります。責任者の資格を取得している人間がいれば、かなり少ない人数でも実際に起業していくことが可能となります。ただし、ここでカウントしていないのがネットのシステム開発ということになります。まとまった費用が必要になるのはこの部分がもっとも大きなものになりますので、どのレベルまで作りこむのかをよく考える必要があるのです。
4)全体として会社だけ設立すればできるビジネスではないことを肝に命じるべき
職業紹介業はネットの募集ホームページさえ設定できれば、簡単にビジネスをスタートできるように思いますが、実は国の許可要件をクリアするためにかなりの努力を必要としますし、資本金などの事象資金もことのほか細かい設定から応分のボリュームを確保してはじめませんと簡単にはできない事業となっています。資本金額の縛りなどを考えますと、外から見ているほど参入しやすいビジネスではないことがわかります。ただし、ネットを利用することにより広域的な商圏を確保しやすいことも事実であり、国の定める要件をとにかくクリアすることができれば、ネットビジネス主体で規模を大きくすることが可能であることは間違いありません。リアルビジネスを十分に意識しながらネットでビジネスを拡大するという点ではうまく軌道に乗せることができればかなり効率のいいビジネスになることも確かなのです。
スタート時の顧客開拓はまさにリアルビジネス
またスタートアップ時に努力が必要となるのは求人案件の獲得作業になります。一定の取引ボリュームと応募者が集まるサイトへと成長してしまえば、求人案件もネット経由で獲得ができますが、最初の段階ではリアルに動き回って営業をかけなくてはならないのが求人案件の獲得ということになります。求人紹介事業は、現在ほとんどが成功報酬型ビジネスですから、ある意味で求人をする企業側にはまったくリスクはありません。したがってこの手のビジネスの営業経験がある人間ならば人事部や総務部などにアプローチして求人案件を一定数集めることに尽力することになります。ネットのサイトの場合、全部あわえても2件か3件しかないとなるとそもそもホームページがまともに機能しないことになりますので、最初は少なくとも数十件から100件ぐらい集まるように努力をしなくてはなりません。こちらも根とビジネスでありながらすべての顧客をオンライン上だけでは集められませんので、一定以上の努力が必要になってくる部分といえます。求人企業数と応募者数の関係は常にたまごとニワトリの関係になりますのでどちらが少なくてもビジネスのバランスが保てませんが、案件があるから顧客が集まることは間違いありませんので、この場合必要なのはまず求人案件ということになります。
他のサイトにも載っている求人案件を見ると応募者は一定の安心感をもつことになりますが、逆に差別化のポイントとして自社だけで扱っている案件も獲得していきませんと、応募者は定着しないことになります。この手のサイトは通常2社以上登録している応募者がほとんどですから、日常的に競合他社のサイトと比較され続けていることを忘れてはなりません。
土地勘のある業界の転職案件獲得から攻めてみる
ネット主体の転職サイトを運営する場合、特別業界を絞ることはありませんが、スタートアップ時には少なくとも多少は土地勘のある業界から攻めてみるのが定石といえます。たとえば医療、看護師、介護士などの業界に詳しいという場合には、それを活かしてみるのがやはりお勧めです。ITの世界でまったく右も左もわからない、クラウドコンピューティングのクの字も意味がわからないところから攻めていくというのは無駄が多くなります。やはり知見のあるところから広げていく、もしくは知見の豊富なところ専門で業務開拓をしていき、結果として幅を広げていくといった工夫が必要になります。とにかくネット上には同業者が多数存在します。しかも商圏を特定地域に区切らなければ、それだけ多くの競合と向きあうことになるわけですから、競争は思いのほか激しくなります。このあたりの営業戦略もよく検討して無理のないところからシナリオを考えていく必要があります。
ネット専門の職業紹介で許可をとった場合にはネットだけでの勝負となる
許可をとるのは簡単なのが、ネット専門で対面をとおなう職業紹介事業の運営をしないという方式です。しかしあらゆる顧客とネットの画面およびメールだけでのやりとりをすることになり、対面での交渉ができないわけですから、応募者を集めることはネットで可能としても、本当にスタートアップ時に求人企業を集めることができるかどうかが非常に大きな問題となります。まさに人材紹介をめぐるネット上のマーケットプレイスのようは形態になりますので、効果的な営業活動が行えるのかどうかが最大のテーマとなります。通常の許可をとりつけてネット主体で事業を進めることにすれば、いざというときには電話や訪問を通じての営業活動を行うことができますが、果たしてネットだけで事業を軌道に乗せることができるかどうかはかなりチャレンジなやりかたということになります。
ネット広告に依存すると法外なお金がかかる
ネットサイトならPPCの広告を出せばいいのではないかと思われる方も多いと思いますが、実はネット広告といえどもPPCで1位にのるためには、広告のカテゴリーにもよりますが月間で6000万とか7000万程度かかることはざらです。少しの資金で広告出稿などしてみてもまさに焼け石に水ですから、広告に頼ってスタートアップ時の職業紹介ビジネスを乗り切ろうと思うのは、よほど資金が潤沢で大手並みに市場に乗り込めるときだけということになってしまいます。しかもPPCで高いレートがでたからビジネスにつながるかといわれれば、そこはまた別の世界になってしまいますから、あまり甘く考えた事業計画を設定してしまいますと、まったく売上げにならずに開店休業に陥ってしまう危険性すらあるのです。ここはリアルビジネスの営業主体でしっかり顧客を掴まえて、地道に売上げがあがるように仕込んでいく必要があるのです。このあたりの力の差も競合他社に大きく溝をあけられる要素になってしまうのです。とにかくサイトというのは開設してみるとつくづく思い知らされることになりますが、告知もなく、話題もないと泣きたくなるほど誰もサイトに見に来ない状況になります。場合によってはまったく人気のないブログの閲覧者に劣るとも勝らないほどひどい状況に陥ることもあるのです。とにかく楽観視は禁物です。事業スタートの当初からしっかりとしたSEO対策を考えて臨むことが必要ですし、なによりホームページを制作する会社を選択する段階で、先行きのSEOまで面倒みてくれる長い付き合いのできる会社を選択することがきわめて重要なのです。サイトを作ったらそれでおしまいという会社ほど使い物にならないものはないことを、そのときに初めて実感させられることになるのです。
最近での起業者はほとんどがネットビジネス主体
当然といえば当然のことですが、近年におけるこの事業参入者はほとんどがネットビジネス主体で事業を行おうとしています。やはりオンラインを利用してホームページを開設して事業をスタートさせることが非常に簡単に応募者である顧客を獲得しやすいということに多くの起業者が気がついていることを示唆する状況です。それだけに、一定の業種を対象として職業紹介をするサイトを立ち上げようと思ったときには、同業種のサイトを運営しているところがどのぐらい存在するものなのかについて、あらかじめチェックしておくことも必要となります。人気サイトがどこなのか?また何で流行っているのか?などネットビジネスとしての競合分析はしっかり行うことが必要になってきます。業種もさることながら、地域密着で行っている事業者も多くなってきていますので、商圏範囲がかぶっているところがどのぐらい存在するのかについてもしっかりリサーチしておく必要があります。
SEO対策も当初からしっかり意識すること
さらに事業をスタートさせると即座に問題になるのがアクセス数などの伸びについてです。つまりSEOとの長い戦いがはじまることになります。競合と思われるサイトを分析してみますと、転職だけでなく地域名が入っていることにより非常にアクセスが増えるといったこともあり、会社の商号とは別にサイトの名称やドメインネームをどう取得していくかといった細かな点についてもしっかり時間をかけて検討する必要がでてきます。安易に名称取得してしまったが故にあとになって非常に手間のかかるSEOを強いられるということはよくあることです。もちろん最近ではコンテンツの充実度など検索エンジンサイドがチェックしてくるクライテリアは大きく変化してきていますが、行き当たりばったりにならない用意周到さが必要になってくるのです。こうしたSEO対策というのもホームページ制作当初から意識して、制作完了後もきちんと面倒を見てくれるサービス機能をもった制作会社に依頼することが非常に重要になってくるのです。単純な初期の制作費の比較だけで制作会社を選んでしまいますと肝心な運用会議後の相談相手になってもらえず、立ち往生してしまうことすらあるのです。ほとんどの新規事業者はそこまでしっかり考えていないケースが多いものですが、立ち上がりの当初から十分に検討して最善を尽くす努力をすることが必要になります。
実際の利用者の生の声をしっかりヒアリングすることが重要
通販サイトでも転職サイトでも、利用するのは人ですから、基本的には大きな違いはないはずですが、転職や就職、派遣先ビジネス探しとなると利用者の真剣度は通販とは比較にならないほど高くなります。それだけに利用者のそうした真剣な態度に応えられるサイト運営をしていくことが強く求められることになります。こうしたサイトで成功するためには、やはり真摯な態度で顧客を見つめることが重要になってくるのです。とくにカスタマーインサイト、つまり顧客がなにを求めていて、どこに視点があっているのかをしっかり受け止める必要があります。思いつきや推測だけでサイトを構築してしまうのではなく、リアルなターゲットとなる顧客の声に触れてみることも重要になります。顧客視点でのウエッブサイト評価というものを意識していくことは、長い目でみてサイトの運営に大きく寄与することになるのです。作り手の一方的な発想だけで進めてしまうのではなく、顧客のインサイトというものを意識することができれば、かなりいい運営ができることになります。
ネットサイトにおける業界のベストプラクティスを常に意識すること
このウエッブサイトを利用した職業紹介ビジネスではかなりうまくいっている、いわゆる成功事例がいくつも見られます。こうしたベストプラクティスと思しきものと自社のサイトのどこが違い、どこが一緒なのかという点については常に意識し続けることが重要になります。単なる模倣ということではなく、ビジネスのやり方としてのフィット&ギャップアナリシスを行うということが重要になってくるのです。もちろんただ模倣すればいいということではありませんが、プラスに働く機能やサービス、またユーザビリティといったものは常に意識しておくことがとても大切です。顧客は口に出さなくてもそうした差の部分をもっとも敏感に感じており、その結果がブランド評価につながっていることを忘れてはいけません
インターネット専業ということで許可を得るのが本当にお得かよく考えて決断を
申請関連の情報の中に何箇所かインターネット専業の有料職業紹介のことを書きましたが、確かに事務所は20平米以下でもスタート可能といいながらネットの画面とメールだけのコミュニケーションで紹介業をはじめたときに、本当に成立するかどうかについては熟考を要するポイントになりそうです。たしかに対面を伴わないビジネスモデルというのはまさにネットを利用したものとしてぴったりですが、気をつけなくてはならないのはネット専業としてもなんらその他の条件が緩和されているわけではありませんので、あくまで事務所の問題だけということになってしまいます。通常の許可を得ておけば、いざとなったときには電話営業もできますし、対面営業もできるわけですから、かえって制約条件が大きくなるということだけはあらかじめよく損か得かについて考える必要がありそうです。
兼業における注意事項
次の業種と兼業する場合には、十分な注意が必要となります。 貸金業については貸金業法による登録、質屋営業については質屋営業法による許可 をそれぞれ受け、適正に業務を運営していることが必要です。また、貸金業や質屋営業における自己のビジネスの債務者を求職者にすることは禁止されていますので、この部分についても注意が必要となります。